2008年3月9日日曜日

立ち退き交渉を強要されたら

 地上げ屋が電話を頻繁にかけてきたり、大声を出したり、ドアをどんどん叩いたり、などの嫌がらせをしてきたら、どうすればよいでしょうか。
 単に警察に電話しただけでは、民事不介入の原則によって、真剣に相手をしてくれない可能性があります。
 そこで、まずは裁判所に対して
1.音に対しては、音による損害賠償請求
2.面会の強要には、面会強要禁止処分申請
を行います。
 こうしておけば、地上げ屋が更に同様の行為を続ければ、仮処分の決定に違反することになります。
 仮処分の決定への違反は、刑事犯罪ですので、警察権が発動でき、警察も真剣に相手をしてくれる可能性が高まります。

2008年3月5日水曜日

スルガコーポレーション

 報道によると、東証2部上場の不動産会社、スルガコーポレーションの依頼を受け、弁護士資格がないのに東京・麹町の13階建て商業ビル「紀尾井町TBRビル」(現在は駐車場)の立ち退き交渉をしたとして、警視庁組織犯罪対策四課は4日、不動産仲介会社「光誉実業」(大阪市)社長、朝治博容疑者(59)ら10人を弁護士法違反(非弁行為)容疑で逮捕した、とのこと。

 新聞を読んでみましたが、これは私の経験したパターンと全く同じです。
1.ビルのオーナーが変わる。
2.新オーナーは「ビルが古いので建て直ししたい」と考える。
3.新オーナーから依頼を受けた地上げ屋が、不動産の譲渡契約書を見せて、入居者に「我々が新しいビルのオーナーだ。立て直すので出て行け」と言って回る。ただし、地上げ屋は、不動産登記を行わない。なぜなら、不動産登記をすると、登録免許税がかかるし、年を越すと固定資産税もかかるからです。
4.不動産に無知な入居者は素直に退去する。
5.一部の入居者が退去を渋るといやがらせをする。
6.いやがらせにうんざりした入居者が全員退去する
7.新オーナーがビルを取り壊す

入居者は簡単に退去する前にすることがあります。
その手順は以下の通りです。
1.ビルのオーナーが変わったとの連絡が来たら、不動産登記簿を取得する。この際、建物と底地の両方について登記簿を取得することを忘れずに。前述の通り、登記にはコストがかかるので、地上げ屋は登記せず、新オーナーの名前が出ているはずです。
2.地上げ屋が来たら、「あなた方がオーナーであることを証明してくれ」と言う。地上げ屋は、譲渡契約書を見せて「我々が取得した」と言い張るだろうが、所有権を主張するには登記が必要です。
3.地上げ屋に「登記簿によれば、あなた方はオーナーではない。従って、あなた方はオーナーの代理で交渉しに来たことになる。ということは、あなたがたは弁護士か?」と質問する。
4.もし地上げ屋が「弁護士だ」と言ったら、弁護士会で確認すればよい。普通は、地上げ屋は地上げ屋であって、弁護士ではありません。
5.地上げ屋が弁護士でないことが確認できたら、「弁護士でない者が報酬を得る目的で、業として法律事務などを取り扱うのは非弁行為です。非弁行為は弁護士法で禁じられ、違反者には2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられますよ。新オーナーご本人か弁護士の方が交渉に来てください。」と伝えて追い返す。

皆さん、「非弁行為」という言葉を忘れずに。

この手順の途中で地上げ屋がぶちきれて脅してきたらどうするのか。
簡単です。
すぐに110番に電話して警官に来てもらいましょう。

2008年3月4日火曜日

目的

地上げ屋と戦う時、自分の目的をはっきりさせておくと長続きすると思います。
考えられる目的は、
1.困難から逃げない精神力を鍛える
2.立ち退き料を引き上げる
3.物件を気に入っているので立ち退きせずに住み続ける
4.不動産業の勉強をする
5.道理の通らぬ話しに筋を通す
等などです。
ただ、地上げ屋からすると立ち退き料目的の交渉は全く怖くないと思います。
金で全て解決できますからね。
それこそ地上げ屋の思う壺です。
むしろ、金以外の目的を持つほうが良いと思います。
金以外の目的について地上げ屋は理解することができないため、地上げ屋は何をしてよいのか分からず大変に困るはずです。
何せ地上げ屋は金以外には全く興味がありませんからね。

2007年12月10日月曜日

不動産業界を知る

大変ご無沙汰致し申し訳ありません。
仕事に忙殺されておりました。
さて、今回の件で色々と不動産業界の雰囲気や仕事の進め方がよく分かり、大変に勉強になりました。
私の知人の不動産屋さんに今回の件についてのアドバイスをして頂いた時、「不動産屋の話は全て嘘だと思っておくことが重要です。その場で嘘をついて、その場を切り抜けられればこっちのもんですから。」と言われ、最初信じられませんでした。
人間、自分の認識と余りにもかけ離れていることはなかなか信じられないものです。
しかし、時間がたつと、なるほど確かにその通りでした。
私が感じた不動産業界のイメージに最も近い本が
「不動産というバケモノ」(別冊宝島編集部編)
http://www.amazon.co.jp/不動産というバケモノ-別冊宝島編集部/dp/4796617965/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1197250840&sr=1-1
です。
これは笑えます。
例えば、「フルコミッションの不動産セールスマンが、物件のそばのバス停の時刻表に勝手に数字を書き込んで、いかにもバスの便がいいように細工して売る」などという話が出てくる。
これを読んで、昔、田舎のバス停の時刻表の数字が手書きだったことを思い出しました。
古本で手に入りますから、是非ご一読を。
当初私は地上げ屋、不動産屋に非常に腹を立てておりましたが、業界の方々がどなたも金の事ばかり考えていることに、何と哀れな人々だと感じ始めていた頃、この本を読みました。
すると、あらあら不思議。
哀れなだけではなく、何やら微笑ましい人々だと感じるようにすらなりました。
賃貸派、持家派、共にご一読あれ。

2007年7月16日月曜日

地上げ屋の手先を知る

地上げ屋の後ろでは弁護士が入れ知恵しています。彼らは、どうすれば合法的に借家人を追い出せるかを考え、地上げ屋に教えます。実は、その手口を教えてくれる本があります。
悪質借家人を追い出す家主の正攻法
弁護士 山崎邦雄
自由国民社
http://www.amazon.co.jp/悪質借家人を追い出す家主の正攻法-山崎-郁雄/dp/4426242061/ref=sr_1_1/503-3771591-0002334?ie=UTF8&s=books&qid=1184545429&sr=1-1
この本は、家主向けに執筆されており、おそらくは弁護士として顧客を開拓するために出版されたものでしょうから、逆に我々借家人には地上げ屋の手口を知る教材になるのです。
この本にも、借家の明渡しの裁判については、第一審から最高裁まで、短くて5~6年、長いと10年かかっていると書かれています。
「裁判の秘密」(山口 宏 副島 隆彦 著)でも書かれていましたが、裁判に時間がかかるのは、明渡しの裁判に限らず、日本の裁判一般に言えることなのです。
よって、我々は、地上げ屋から「訴えるぞ」と言われても、「どうぞ」と言えば良いのです。
家賃を払っていないような悪質な場合でも、借家人を追い出すのは、相当に大変なことだそうですし、ましてや借家人としての義務を果たしている場合には、もっと大変なのです。
従って、借家人としては、じっくりと腰を落ち着けて対応していけば良いのです。
それにしても、この本では、普通の借家人まで「悪質借家人」扱いをしていますが、金儲けだけしか考えていない人間は、どんな業界でも、手ごわい顧客のことを「悪質」扱いするものですね。
借家人から見れば、正当事由無く借家人にしつこく明渡しを求める家主は「悪質家主」なのですから、「悪」が相対的な存在であることがよく分かります。

2007年7月9日月曜日

裁判を知る

地上げ屋に「訴えるぞ」と言われたら、どう答えたら良いでしょうか?
答えは、「どうぞ」。
裁判は非常に時間がかかるため、裁判をすると地上げ屋、あるいはその裏にいる不動産開発業者にとっては事業計画が狂ってしまいます。
よって、裁判に訴えてくる可能性は極めて低いのです。
そんなことをするくらいなら、金銭で解決するほうがマシなのです。
では、本当に訴えられたらどうするか。
堂々と受ければよいのです。
その際、地上げ屋には「堂々と受けて立つよ。最高裁までね」と言い放ってください。
民事事件は、原告、つまり地上げ屋に有利なことを被告、つまり我々借家人に言わせなければ、立証責任を尽くしていないと裁判官に判定されてしまうそうです。
そのあたりは、
裁判の秘密 (単行本) 山口 宏 (著), 副島 隆彦 (著)
洋泉社
http://www.amazon.co.jp/裁判の秘密-山口-宏/dp/4896917065/ref=sr_1_2/503-3771591-0002334?ie=UTF8&s=books&qid=1183929464&sr=1-2
に書いてあります。
この本を読むと、なぜ裁判に時間がかかるのかなどについて大変に驚くべき事実が誰にも分かりやすく書いてあります。
立ち退き問題を抜きにしても非常に楽しく読めました。
訴えられたときの恐怖感は完全に消えると思いますよ。

2007年6月26日火曜日

地上げ屋を知る2

地上げ屋への恐怖心を無くすには、地上げ屋とはどんな連中かを更に理解しましょう。
実録!示談ビジネス (文庫)
宝島社 (2001/07)
http://www.amazon.co.jp/実録-示談ビジネス-柳原-三佳/dp/4796623337/ref=sr_1_2/503-3771591-0002334?ie=UTF8&s=books&qid=1182845783&sr=8-2
を推奨します。
この本でも、誠実な地上げ屋の方が腕の良い地上げ屋であることが分かります。
残念ながら、質の悪い地上げ屋に当たった場合は、すぐに警察に通報しましょう。